看取りの現場で活用されるガイドラインのポイントについて

令和3年度の介護保険の法改正において、ターミナルケア時のケアマネジメントにおいては、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に沿って取り組みを行うこととされました

看取り対応は今後、増えていくことが想定され、ケアマネジメントにおいてガイドラインの中身を理解しておくことは大切です

ただ、実際、仕事が忙しい中、細かい字を読むのは大変です

今回は、人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインの解説編を踏まえたガイドラインのポイントを紹介していきます

厚生労働省ホームページ「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改訂について





ターミナルケア加算改正内容

令和3年度の法改正において、看取りへの対応充実の一つとして、ガイドラインに基づいたケアが盛り込まれました

ガイドラインの取り組み推進

目的は看取り期における本人・家族との十分な話し合いや他の関係者との連携を一層充実させることです

基本報酬(介護医療院、介護療養型医療施設、短期入所療養介護(介護老人保健施設によるものを除く))や看取りに係る加算の算定要件において、ガイドライン等の内容に沿った取組を行うことを求めることとされています

ターミナルケア加算算定要件

居宅介護支援の加算要件にも以下のように加算要件が追加されています

ターミナルケアマネジメントにあたっては、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等を参考にしつつ、本人の意思を尊重した医療・ケアの方針が実施できるよう、多職種が連携し、本人及びその家族と必要な情報の共有等に努めること。

1 人生の最終段階における医療・ケアの在り方のポイント

医療ケアの最も重要な原則

医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて医療・ケアを受ける本人が多専門職種の医療・介護従事者から構成される医療・ケアチームと十分な話し合いを行い、本人による意思決定を基本としたうえで、人生の最終段階における医療・ケアを進めること
第一に十分な情報と説明(本人の心身の状態や社会的背景に鑑み、受ける医療・ケア、今後の心身の状態の変化の見通し、生活上の留意点等)を得たうえでの本人の決定こそが重要と解説には書かれています

本人の意思は変化する

本人が自らの意思をその都度示し、伝えられるような支援が医療・ケアチームにより行われ、本人との話し合いが繰り返し行われることが重要
本人の意思は、時間の経過や心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて、大きく変化する可能性があることから、繰り返し話し合いを行うことが、本人の意思の尊重につながると解説編には書かれています

自らの意思を伝えられない状態になる可能性

家族等の信頼できる者も含めて、本人との話し合いが繰り返し行われることが重要である。この話し合いに先立ち、本人は特定の家族等を自らの意思を推定する者として前もって定めておくことも重要

医療・ケアの開始、中止、変更等

医療・ケア行為の開始・不開始、医療・ケア内容の変更、医療・ケア行為の中止等は、医療・ケアチームによって、医学的妥当性と適切性を基に慎重に判断すべきである

状態を踏まえた妥当な判断

がんの末期のように、予後が数日から長くとも2-3ヶ月と予測が出来る場合、慢性疾患の急性増悪を繰り返し予後不良に陥る場合、脳血管疾患の後遺症や老衰など数ヶ月から数年にかけ死を迎える場合があります
どのような状態が人生の最終段階かは、本人の状態を踏まえて、医療・ケアチームの適切かつ妥当な判断によるべき事柄と説明されています

チーム形成が間に合わない時

また、チームを形成する時間のない緊急時には、生命の尊重を基本として、医師が医学的妥当性と適切性を基に判断するほかありませんが、その後、医療・ケアチームによって改めてそれ以後の適切な医療・ケアの検討がなされると説明されています

総合的な医療・ケア

医療・ケアチームにより、可能な限り疼痛やその他の不快な症状を十分に緩和し、本人・家族等の精神的・社会的な援助も含めた総合的な医療・ケアを行うことが必要
人が人生の最終段階を迎える際には、疼痛緩和ばかりでなく、他の種類の精神的・社会的問題も発生します
可能であれば、医療・ケアチームには、ソーシャルワーカーなど、社会的な側面に配慮する人やケアに関わる介護支援専門員などが参加することが望まれると解説されています

積極的安楽死は対象外

「積極的安楽死とは何か、それが適法となる要件は何かという問題を、このガイドラインで明確にすることを目的としていません」とされています

2 人生の最終段階における医療・ケアの方針の決定手続

  1. 本人の意思の確認ができる場合
  2. 本人の意思の確認ができない場合
  3. 複数の専門家からなる話し合いの場の設置

3つに点から見ていきます

本人の意思が確認できる場合

方針の決定

本人の状態に応じた専門的な医学的検討を経て、医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされることが必要。そのうえで、本人と医療・ケアチームとの合意形成に向けた十分な話し合いを踏まえた本人による意思決定を基本とし、多専門職種から構成される医療・ケアチームとして方針の決定を行う
 

本人への意思確認

時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて本人の意思が変化しうるものであることから、医療・ケアチームにより、適切な情報の提供と説明がなされ、本人が自らの意思をその都度示し、伝えることができるような支援が行われることが必要
本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、家族等も含めて話し合いが繰り返し行われることも必要ともされています
まず本人の意思が確認できる場合には本人の意思決定を基本とすべきこと、その際には十分な情報と説明が必要なこと、それが医療・ケアチームによる医学的妥当性・適切性の判断と一致したものであることが望ましく、そのためのプロセスを経ること、また合意が得られた場合でも、本人の意思が変化しうることを踏まえ、さらにそれを繰り返し行うことが重要と解説されています

記録と共有

プロセスにおいて話し合った内容は、その都度、文書にまとめておく
話し合った内容を文書にまとめるにあたっては、医療・介護従事者からの押しつけにならないように配慮し、医療・ケアについての本人の意思が十分に示された上で、話し合われた内容を文書として残しておくことが大切とされています
また、家族等と医療・ケアチームとの間で共有しておくことが、本人にとっての最善の医療・ケアの提供のためには重要とも解説されています

本人の意思の確認ができない場合

本人の意思確認ができない場合には、次のような手順により、医療・ケアチームの中で慎重な判断を行う

  1. 家族等が本人の意思を推定できる場合には、その推定意思を尊重し、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。
  2. 家族等が本人の意思を推定できない場合には、本人にとって何が最善であるかについて、本人に代わる者として家族等と十分に話し合い、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。時間の経過、心身の状態の変化、医学的評価の変更等に応じて、このプロセスを繰り返し行う。
  3. 家族等がいない場合及び家族等が判断を医療・ケアチームに委ねる場合には、本人にとっての最善の方針をとることを基本とする。
  4. このプロセスにおいて話し合った内容は、その都度、文書にまとめておくものとする。

家族とは

家族等とは、今後、単身世帯が増えることも想定し、本人が信頼を寄せ、人生の最終段階の本人を支える存在であるという趣旨ですから、法的な意味での親族関係のみを意味せずより広い範囲の人(親しい友人等)を含みますし、複数人存在することも考えられます(このガイドラインの他の箇所で使われている意味も同様です)

家族等の役割

本人が自らの意思を伝えられない状態になった場合に備えて、特定の家族等を自らの意思を推定する者として前もって定め、その者を含めてこれまでの人生観や価値観、どのような生き方や医療・ケアを望むかを含め、日頃から繰り返し話し合っておくことにより、本人の意思が推定しやすくなります。その場合にも、本人が何を望むかを基本とし、それがどうしてもわからない場合には、本人の最善の利益が何であるかについて、家族等と医療・ケアチームが十分に話し合い、合意を形成することが必要

決定を医療・ケアチームに委ねる場合には、医療・ケアチームが医療・ケアの妥当性・適切性を判断して、その本人にとって最善の医療・ケアを実施する必要があり、家族等が判断を委ねる場合にも、その決定内容を説明し十分に理解してもらうよう努める必要があると解説されています

また、文書の保存・共有することも書かれています

複数の専門家からなる話し合いの場の設置

  • 医療・ケアチームの中で心身の状態等により医療・ケアの内容の決定が困難な場合
  • 本人と医療・ケアチームとの話し合いの中で、妥当で適切な医療・ケアの内容についての合意が得られない場合
  • 家族等の中で意見がまとまらない場合や、医療・ケアチームとの話し合いの中で、妥当で適切な医療・ケアの内容についての合意が得られない場合

については、

複数の専門家からなる話し合いの場を別途設置し、医療・ケアチーム以外の者を加えて、方針等についての検討及び助言を行うことが必要である
とされています
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例外的設置

別途設置される話し合いの場は、あくまでも、本人、家族等、医療・ケアチームの間で、人生の最終段階における医療・ケアのためのプロセスを経ても合意に至らない場合、例外的に必要とされるもの。第三者である専門家からの検討・助言を受けて、あらためて本人、家族等、医療・ケアチームにおいて、ケア方法などを改善することを通じて、合意形成に至る努力をすることが必要
と解説されています

第三者である専門家

例えば、医療倫理に精通した専門家や、国が行う「本人の意向を尊重した意思決定のための研修会」の修了者が想定されますが、本人の心身の状態や社会的背景に応じて、担当の医師や看護師以外の医療・介護従事者によるカンファレンス等を活用することも考えられます
とされています
 

意思決定支援や方針決定の流れ

図にすると以下のような流れになります

出典 厚生労働省ホームページ 第 6 回 在 宅 医 療 及 び 医 療 ・介 護 連 携 に 関 す る W G ACP(アドバンス・ケア・プランニング)
普及・啓発について(報告)資料 URL:https://www.mhlw.go.jp/content/10802000/000355116.pdf





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まとめ

人生を自分自身で選択する

以上、人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドラインの解説編を踏まえたガイドラインのポイントを紹介しました

人生の最終段階はいつ訪れるか分かりません。誰でも、いつでも、命に関わる大きな病気やケガをする可能性があります

前もって、信頼する周囲の方々と話しておくことが大事です

最後までお読みいただきありがとうございました

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