身寄りの協力が難しい方へ身元保証等のサポート事業を紹介するときのポイントについて

少子高齢化、高齢者世帯の増加等の背景から主に一人暮らしの高齢者等を対象とした、身元保証や日常生活支援、死後事務等に関するサービスを提供する事業がここ数年増えています

ただ、日本ライフ協会のようには経営難から預託していた金銭を事業に流用し、利用者がサービスが受けられない、預けていた金銭も返還されないという消費者被害が発生したこともあり、一時期問題となりました

ケアマネジャーも身寄りがないケースを担当することもあり、事業所紹介には十分注意していく必要があります

問題となったこともあり、介護保険最新情報 Vol.676において、「市町村や地域包括支援センターにおける身元保証等高齢者サポート事業に関する相談への対応について」が通知されているので、内容のポイントを紹介していきます



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身元保証が調査された背景

身元保証に関する調査資料

身元保証サービスは、指導監督に当たる行政機関が必ずしも明らかではなく、また、利用者からの苦情についてもほとんど把握されていない状況がありました。

そのため、実態調査から利用者に対する支援の在り方について検討を行い、報告書が取りまとめられています

厚生労働省ホームページ 地域包括ケアシステムの構築に向けた公的介護保険外サービスの質の向上を図るための支援のあり方に関する調査研究事業

厚生労働省ホームページ 介護施設等における身元保証人等に関する調査研究事業

報告書の内容を踏まえ、不明確な実態があったため、各市町村や地域包括支援センターにおける身元保証等高齢者サポート事業に関する相談を受けた場合の取扱い通知がまとめられています

内容はケアマネ向けではなく利用者向けですが、実務としては、知っておいた方がいい内容です

★身寄りがない人へのガイドライン紹介記事です

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介護施設等における身元保証人等の取扱について

介護保険施設においては、身元保証人がいないと、判断力が低下している場合、成年後見人をつけないと受け入れができないと提供拒否される実情もあると思いますが、法的には断っていい理由にはなりません

介護保険施設に入所する際の身元保証

介護保険施設への入所については、各介護保険施設の基準省令において、正当な理由なくサービスの提供を拒んではならないとされています

厚生労働省発出の通知 によれば、入院・入所希望者に身元保証人等がいないことはサービスの提供を拒否する正当な理由には該当しないとされています

申し込みを拒否できない原則は基本において話し合いをしていくことが大事です

病院に入院する際の身元保証

医師法では「診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。」(第 19条)と規定されています

この場合の「正当な事由がある場合」とは、医師の病気により診療が不可能な場合等社会通念上妥当と認められる場合に限られると解されており 、身元保証人等がいないことは正当な事由に該当しないと考えられます

病院も同じ考えになります

身元保証人等に求められる機能・役割

施設入所の際、施設側が身元保証人に求めることは大きく以下の点になります

  • 「金銭に関すること」
  • 「契約・サービスの提供に関すること」
  • 「医療に関すること」
  • 「退所(退去)時に関すること」
  • 「死後事務に関すること」
  • 「身上監護」

その他、損害補償なども入る施設もあるかもしれません

医療同意に関することは施設側では難しいので、本人の意思を推定し、チームで方針を決めることになるように思います

施設のケアプラン等も本人が署名できなくても自治体等と相談し、チームで方針を決めている施設もあり、上記の内容は工夫次第で対応できる面も実はあります

「身元保証人」「身元引受人」という言葉は、法的な責任の範囲が明確ではないため、施設相談員もよく中身の意味を分かっておらず、現場の多忙さも重なり、提供拒否につながっているのが実情のように感じます

そのため、施設側の安心やリスク回避のために成年後見人等をつける、身元保証団体の利用を条件にするなどが起きているのが実情です

 

身元保証等高齢者サポート事業に関する相談への対応

通知は市町村、包括向けですが、内容は利用者向けなので、ケアマネジャーの方も活用できます

冊子の案内文では、高齢者の課題として、

高齢者やその家族等が身元保証等高齢者サポート事業を利用する場合、高齢者等は、どのような点に着目してサービス内容や事業者を選択すれば良いのか分からない、どの機関に相談したら分からない等の不安を抱えている
とされ、事業についての説明と、利用する事業者及びサービスを検討する際のポイントを示した普及啓発資料を作成したとされています
また、調査においても、
介護施設への入所(入院・入居)時に本人以外の署名を求めている施設は 95.9%を占めており、施設側が身元引受人等に求める機能・役割は、本人の責任範囲を超えた場合における滞納リスクの回避、本人の能力が衰えた場合における身上保護および財産管理大別されることが明らかとなった
「身上監護」「財産管理」の二つが大きな施設側の問題と触れられた上で、身元保証団体サービスの取り扱いが紹介されています
国としては、身元保証団体の全部を否定する形でないことが分かります
 

啓蒙冊子の中身

出典:介護保険最新情報 Vol.676 市町村や地域包括支援センターにおける身元保証等高
齢者サポート事業に関する相談への対応についてより一部抜粋

タイトルは、

「身元保証」や「お亡くなりになられた後」を支援するサービスの契約をお考えのみなさまへ
です
サービスの利用を考えている方向けに、事業者やサービス内容を選ぶ上で注意すべきポイントが紹介されています
項目としては、
  • 高齢者サポートサービスとは?
  • 高齢者サポートサービスを契約する前に…「身元保証」や「死後事務」にまつわる基礎知識
  • 高齢者サポートサービス利用の基本の手続きと起こりがちな悩み・トラブル
  • 高齢者サポートサービスを利用する時は以下の点をよく確認しましょう
  • 相談先のご紹介

等の内容が紹介されています。それぞれ、簡単に内容に触れていきます

高齢者サポートサービスとは?

有償の高齢者サポートサービスとして、事業者により組み合わせに差があるものの、以下の3つのサービスがあることが紹介されています

  1. 日常生活支援サービス
  2. 身元保証サービス
  3. 死後事務サービス

「身元保証」や「死後事務」にまつわる基礎知識

  • 身元保証に関する基礎知識
  • 死後事務に関する基礎知識

身元保証や死後事務に関する説明がされています

高齢者サポートサービス利用の基本の手続きと起こりがちな悩み・トラブル

以下の利用の流れのおける各時点での悩みやトラブル例が紹介されています

  • 事業者・サービス内容の検討
  • 契約手続き
  • サービス利用
  • 契約の終了/解約

高齢者サポートサービスを利用する時は以下の点をよく確認しましょう

事業者と話し合う前に確認する点が相談事例と共に紹介されています

  • 要望の整理
  • 支払い能力の見極め
  • サービス内容の確認
  • リスクへの備え

相談先のご紹介

相談先は、地域包括支援センター、消費生活支援センターが紹介されているため、ケアマネージャーからつなぐ前にパンフレットを渡して説明しておくのは、ケアマネージャーの紹介責任として行っておくとよいかもしれません

リンク先

介護保険最新情報 Vol.676 市町村や地域包括支援センターにおける身元保証等高齢者サポート事業に関する相談への対応について(WAMネットにリンクします)

まとめ

介護保険施設に対する指導・監督権限を持つ都道府県等におかれては、管内の介護保険施設が、身元保証人等がいないことのみを理由に入所を拒むことや退所を求めるといった不適切な取扱を行うことのないよう、適切に指導・監督を行うようお願いする
と国から県に依頼の文章もあり、身元保証人がいないことにより、実際、入所拒否や退所を求めるといったことが行われている実情があると思われます
また、民間の高齢者サポートサービスの取り扱いのパンフレットを出す点においては、成年後見制度だけでなく、身元保証等の民間のサービスもある程度、認めているとも捉えられます
実際、契約内容の中で寄付等の項目があり、死後、残金が寄付され、家族とトラブルになった事例もあります
ケアマネジャーが紹介する側になることは考えられるので、記事にしてみました
最後までお読みいただきありがとうございました



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