【費用負担が増える方も】施設における食費・居住費助成の見直しについて

介護保険施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院)やショートステイを利用する方の食費・居住費については、低所得の方への助成(補足給付)があります

助成の対象になる方は有料老人ホーム等に入るより、安く費用を抑えることができますが、令和3年8月からは要件が厳しくなり、一部の方は費用負担が増えています

今回の助成基準の変更のポイントや背景を紹介していきます

〇参考元

介護保険最新情報 Vol.985(WAMネットにリンク)→→高額介護(予防)サービス費の負担限度額及び補足給付における食費の見直しの変更

介護保険最新情報 Vol.960(WAMネットにリンク)→→介護保険法施行令等の一部を改正する 政令等の公布について





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補足給付見直しの背景

補足給付の仕組み

出典:厚生労働省ホームページ 令和3年3月9日(火)全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議 介護保険計画課資料より一部抜粋 URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000750705.pdf

介護保険施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設、介護医療院) やショートステイを利用する方の食費・居住費については、低所得の方への助成(補足給付)の仕組みがあります

  • 世帯全員が非課税(別世帯の配偶者を含む)
  • 預貯金額が一定額以下

の場合に、所得段階に応じて食費・居住費の助成を受け、負担軽減が図られる仕組みです

世帯要件は同居で現役世代の方と同一世帯であると制度を使うことができません

また、夫婦要件があり、夫婦で別世帯でも片方の配偶者が課税である以上、制度を使うことができません

申請しないと助成を受けられない点にも注意が必要です

この制度に当てはまりそうな方は有料老人ホームよりも介護保険施設に入所した方が費用を抑えることができます

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補足給付見直しの考え方

出典:厚生労働省ホームページ 令和3年3月9日(火)全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議 介護保険計画課資料より一部抜粋 URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000750705.pdf

今回、低所得者の方への助成が一部変更になった背景は能力に応じた負担とする観点から精緻化し、食費・居住費負担を含む本人の支出額について、所得段階間の均衡を図ることと会議では報告されています

周知用ポスターの見出しには以下のように書かれています

高齢化が進む中で、必要なサービスを必要な方に提供できるようにしつつ、負担の公平性と制度の持続可能性を高める観点から一定以上の収入のある方に対して、負担能力に応じた負担を求める見直しを行います

出典:介護保険最新情報 Vol.985 介護保険施設における食費及び高額介護サービス費の負担限度額が変わります。
(周知用ポスター)URL:https://www.mhlw.go.jp/content/000778218.pdf

制度の持続可能性という点から見ると、介護保険料負担は増えており、実質は財源不足という側面が強いと言えそうです

補足給付の変更点

  1. 認定要件である預貯金額の変更
  2. 介護保険施設入所者・ショートステイ利用者の食費(日額)の負担限度額の変更

の2点が令和3年8月から変更になります

預貯金額の変更

出典:厚生労働省ホームページ 介護保険施設における食費及び高額介護サービス費の負担限度額が変わります。
(周知用ポスター)https://www.mhlw.go.jp/content/000334525.pdf

単身1000円万円以下、夫婦健在の場合は2000万円以下でないと助成を受けられなかったのが、厳しくなりました

  • 年金収入等※80万円以下(第2段階)→ 単身650万円(夫婦は1000万足した1650万円)
  • 年金収入等 80万円超120万円以下(第3段階①)→単身550万円(夫婦1550万円)
  • 年金収入等 120万円超(第3段階②)→500万円(夫婦1500万円)

今回の見直しで補足給付の対象外となる方でも、預貯金額が減少して、認定要件を満たすこととなった場合には、申請により負担軽減の対象となるようです

第2号被保険者(40歳から64歳の特定疾患による認定者)は、若年性認知症等により長期入所が考えられるため、現行の1,000万円が維持されています

介護保険施設入所者の退所年数、退所割合

出典:厚生労働省ホームページ 令和3年3月9日(火)全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議 介護保険計画課資料より一部抜粋 URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000750705.pdf

介護保険三施設いずれの場合も約98%の入所者が15年以内に退所しているため、預貯金額の基準額が下がったと厚生労働省の会議資料には書かれています

15年間入所に必要な預貯金額

出典:厚生労働省ホームページ 令和3年3月9日(火)全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議 介護保険計画課資料より一部抜粋 URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000750705.pdf

また、介護保険三施設の本人支出額の平均と年金収入を比較し、補足給付を受けながら本人の年金収入で15年入所することができる水準にしたとも書かれています

  • 年金額3万円の場合→15年間入所に必要な預貯金額は611万円
  • 年金額6.7万円の場合→15年間入所に必要な預貯金額は375万円
  • 年金額10万円の場合→15年間入所に必要な預貯金額は209万円

上のグラフの各年金額の施設費用は、

  • 年金額3万円の場合→6.1万円~7.5万円
  • 年金額6.7万円の場合→8万円~10.9万円
  • 年金額10万円の場合→10.4万円~13.2万円

と年金だけでは足りないので、貯金を切り崩して払っていなかくてはなりません

15年は入所できますが、ほぼ貯蓄はなく、子に財産や葬儀費用を残すことができないので、死亡保険を掛けるなど終活に工夫がいりそうです

年金10万円の場合でも施設費用は10.4万円~13.2万円なので、有料老人ホーム費用よりは安いのかもしれません

預貯金等の中身

出典:厚生労働省ホームページ 食費の負担限度額が変わります(周知用リーフレット)https://www.mhlw.go.jp/content/000334525.pdf

預貯金等の種類としては、

  • 預貯金(普通・定期)
  • 有価証券(株式、国債、地方債、社債等)
  • 金・銀(積立購入含む)など、購入先の口座残高によって時価評価額が容易に把握できる貴金属
  • 投資信託
  • 現金

です。通帳や口座残高の申告が必要となり、不正が発覚した場合は加算金が課される仕組みになっています

生命保険、腕時計、自動車、宝石等時価評価額の把握が難しい貴金属、絵画、骨とう品、家財は預貯金の扱いから外れます

また、住宅ローンや借金等の負債は預貯金額から差し引くことができます

介護保険施設入所者・ショートステイ利用者の食費(日額)の負担限度額

出典:厚生労働省ホームページ 食費の負担限度額が変わります(周知用リーフレット)https://www.mhlw.go.jp/content/000334525.pdf

年金120万超でもその他要件(一番最初に紹介しています)を満たす場合、食費の助成を受けることができます

令和3年8月から年金120万超の方は、食費が1日650円から1360円に増えています

ショートステイに関しては全所得段階で増額になっています

在宅介護の後半にはショートステイ比率が高くなるため、ショートステイの増額は今利用している介護者には経済的支出も増えることで精神的にダメージが大きいかもしれません

所得段階との整合化

出典:厚生労働省ホームページ 令和3年3月9日(火)全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議 介護保険計画課資料より一部抜粋 URL:https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000750705.pdf

所得段階の整合化を理由に年金が10万円以上の方の食費が月2.2万円程増額され、図でいう階段が徐々に上がっていく感じになっています

助成により生活が厳しい時の軽減措置

要件対象外でも以下の特例措置や他制度のよる費用負担軽減策があります

食費・居住費の特例軽減措置

  1. 2人以上の市町村民税課税世帯の方
  2. 世帯の年間収入から施設の利用者負担(介護サービスの利用負担、食費、居住費)の見込み額を除いた額が80万以下
  3. 世帯の預貯金等の額の合計が450万円以下
  4. 介護保険施設に入所し、現在、補足給付を受けていない
  5. 日常生活に供する資産以外に資産がない
  6. 介護保険料を滞納していない

特例措置は結構厳しめな感じです

社会福祉法人等による利用者負担軽減制度事業

社会法人による減免制度も負担軽減策として紹介されています

別記事で以前紹介しています

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まとめ

以上、介護保険施設における食費・居住費助成の見直しについてポイントや変更の背景を紹介しました

以前は、非課税年金が加算されない、夫婦要件や預貯金要件のない、今思うと緩かった制度の時代もありましたが、改正の都度、理由付けはあるものの、実質、費用負担が増えています

反面、看取り等、在宅で長く生活できるよう制度設計もされています

年々、制度が難しくなっているため、申請し忘れると、本来、助成を受けられるのに、余計に費用を払う事になりかねません

施設費用ばかりの厚生労働省資料でしたが、生活には介護保険料や医療保険料、医療費、薬代、入院費なども別な費用でかかってきます

貯金を溜めておくことも大事ですが、健康寿命を長くして、介護期間を短くする備えも大切かもしれません

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